冷え性は手足が冷えるイメージですが、体全体や体の内側が冷えてしまうタイプもあります。冷え性とは血行不良などが原因で、手足の末端または体全体が冷えている状態のことを指します。
冷えだけでなく、倦怠感や頭痛、免疫力の低下から風邪を引きやすくなったりします。
冷え性は体の不調を招く恐れがあるので、放置は禁物です。
冷え性には軽度のものや重度のものがあります。
冷えを感じる箇所も人によって違うので、適切に対処し、冷えの原因を把握する必要があります。
冷え性の種類|症状別
冷え性には下記のような種類があります。
- 四肢末端型冷え性
- 内臓型冷え性
- 全身型冷え性
- 下半身型冷え性
順番に解説します。
①四肢末端型|手足の冷え
四肢末端型冷え性は、手足の末端が冷えるタイプの冷え性です。
運動不足や栄養不足、過度なダイエットが原因となることが多く、10代の女性に多い傾向にあります。
体を温めるためのエネルギーが不足し、血液が末端まで行き届いていない状態なので、手や足の先が冷えやすくなってしまいます。
手足を温めるよりも食事や運動、入浴で体を中から温めることで血行が良くなります。
体を中から温めることにより末端まで血液を行き渡らせることができます。
②内臓型|内臓の冷え
内臓型冷え性は、内臓が冷えているタイプです。
手足に冷えの症状はなく、気付きにくいタイプの冷え性です。
原因は自律神経の乱れにより手足の血管の収縮ができず、内臓に血液が行き届いていないことが考えられます。
倦怠感や下痢、風邪を引きやすいなどの症状がみられる場合、内臓型冷え性の可能性があります。
自律神経を整えるために、ストレスをためない生活を意識するようにしましょう。
③全身型|体全体の冷え
全身型冷え性は、慢性的に全身が冷えている状態が特徴です。
冷え性だと気付きにくい場合もあります。
主な原因は基礎代謝の低下といわれており、運動不足、寝不足、食生活など、生活習慣の影響を受けやすくなっています。
倦怠感、疲労感、食欲低下などがある人は全身型冷え性の可能性があります。
生活習慣を見直し、基礎代謝の向上に意識して取り組みましょう。
しかし、甲状腺機能の低下でも同じような症状が現れるといわれているので、いつまでも改善されないという場合は病院で相談するようにしましょう。
④下半身型|下半身全体の冷え
下半身型冷え性は、上半身は温かいのにお尻や太ももなどの下半身が冷えている状態です。
デスクワークなどで座ったままの状態が続く方や、下半身の筋力が弱い方など、下半身の血行が悪くなることで起こりやすくなります。
下半身を中心に筋トレやストレッチを行い、血行を良くするのが効果的といえます。
冷え性になる原因とは?
冷え性の原因は主に生活習慣です。
冷えを引き起こす原因を詳しくみていきます。
①血行不良
血行が悪くなると体の隅々まで血液が行き届かず、冷え性につながります。
血液の循環に大きくかかわっているのは筋肉です。
筋肉はポンプのような働きをし、血液循環の手助けをしています。
運動不足の人は筋力が低下しているため血行不良を招きやすいといえます。
また、乱れた食生活だと血液がドロドロになり、スムーズに循環できなくなります。
適度な運動と、バランスの取れた食生活でサラサラとした流れやすい血液をつくれば、血行も良くなると考えられます。
②筋肉量が少ない
筋肉は、血液が循環するためのサポートを担っています。
筋肉が動く時に熱を産生するため、筋肉量が少ない人は産生される熱量も少なくなります。
筋肉が減ってしまうと体全体の温度が下がってしまうため、冷え性改善には筋肉量を増やすことが重要といえます。
③基礎代謝が低い
基礎代謝が低いと、熱が発生しにくくなり、体が冷えやすくなります。
運動量、筋肉量の多い人程、基礎代謝が高く体が温まりやすい傾向にあります。
基礎代謝量は年齢とともに低下していくので、積極的に運動をし維持していくことが重要です。
④食生活の乱れ
食生活が乱れていると、体を冷やす原因となります。
冷たい飲み物や食べ物を摂取することが多い人は、なかなか体が温まりません。
ファストフードやコンビニ弁当など偏った食生活も体を冷やしてしまいます。
偏った食生活は自律神経の乱れや基礎代謝の低下にもつながり、慢性的な冷え性になる恐れがあります。
バランスの良い食事を意識し、飲み物は常温か温かいものを摂るようにしましょう。
根菜や発酵食品、香辛料など体を温める食材を摂ることも効果的です。
⑤自律神経の乱れ
自律神経が乱れると血液循環がスムーズにいかなくなり、冷え症につながります。
自律神経は交感神経と副交感神経がバランス良く働くことで、体の機能を正常に働かせることができます。
自律神経はストレスや不規則な生活などがきっかけで乱れてしまいます。
また、女性は生理周期に合わせて女性ホルモンが変化するので、あわせて自律神経も乱れてしまいがちです。
リラックスして過ごす時間や、体を休める時間を意識してとり、自律神経を整えましょう。
⑥喫煙
タバコに含まれているニコチンには、血管を細くする作用があります。
そのためタバコを吸うと血液循環が悪くなり、体を冷やしてしまいます。
細くなった血管はすぐには戻らないため、頻繁にタバコを吸っている人は、慢性的な冷え性になりやすくなります。
冷え性に悩む方で喫煙習慣のある方は、禁煙することが冷え改善に有効といえるので、ぜひ禁煙にチャレンジしてみてください。
冷え性かも?セルフチェックしてみよう
なかなか改善されない体の冷たさや体調不良、もしかすると冷え性かもしれません。
以下の項目で、冷え性のセルフチェックをしてみましょう。
多数当てはまるようでしたら冷え症の可能性が高いので、しっかりと対策しましょう。
手足が冷たい | 手足や体が冷たく寝つきが悪い |
入浴後も手足がすぐに冷える | 厚着をしても体が冷える |
便秘や下痢をしやすい | 風邪を引きやすい |
体がダルい、疲れやすい | ダイエットしてもなかなか痩せない |
あまり汗をかかない | 顔色がくすんでいる |
腰痛、頭痛、肩こりがある | 火照り、のぼせるような感覚がある |
冷え性の改善方法
冷え性が長く続くと、とてもつらいですよね。
重症な人だと生活に影響が出る場合もあります。
改善方法をご紹介するので、ぜひ取り入れてみて下さい。
①自宅でできる冷え性改善方法
自宅でできる冷え性対策には、下記のようなものがあります。
- マッサージ
- 呼吸法
- 足つぼ
第2の心臓と呼ばれるふくらはぎは、マッサージすることで血液循環が良くなります。
また呼吸法は自律神経を整えるのに有効です。
呼吸によって自律神経に働きかけ、心身をリラックスさせることができます。
「三陰交」という足の内側にあるツボは、冷え性に効果的なツボといわれています。
くるぶしの骨の一番上から指4本分上、すねの骨のすぐ後ろの部分を、1回3〜5秒を目安にし、3〜5回、少し痛いぐらいに押すようにしましょう。
(小林製薬:あったかコラム)
また、自宅で簡単にできるお灸も市販されておりますので、マッサージとあわせて施灸してみるのも効果的です。
内臓型冷え症に効くツボ
•中脘(ちゅうかん:へそとみぞおちの真ん中)
•天枢(てんすう:へその両脇、指3本分)
•関元(かんげん:へその下、指4本分)
内臓型冷え症に効くツボ(イラスト:ナミッコ/PIXTA)